電気保安法人・電気管理技術者向け
保安管理業務の新規受託前に
最初に集める7情報
ここで扱う7情報は、受託要件の一覧でも受託可否の判定でもありません。設備と運用の事実をそろえた後、個人・法人ごとの法令上の要件を別に確認します。
まず今日する3つ
受託可否を答える前に、確認作業を3つに分ける
- 受託形態を決める
電気管理技術者として個人で受けるのか、電気保安法人として受けるのかを先に分けます。確認する要件と提出資料が異なります。
- 7情報を匿名で確かめる
初回は事業場名、正確な住所、担当者名、電話番号、メールアドレスを書かず、設備区分や時期などを帯で確認します。相手と確認目的が決まった後に、必要な図面や記録を当事者間で共有します。
- 適格性を別枠で照合する
免状・実務経験・機械器具・換算値などを、個人・法人ごとの要件と最新の一次資料に照らします。不明点は未確認のまま残します。
この3つは受託の判定ではありません。契約締結だけで外部委託は始まらず、設置者による申請と行政庁の承認が別に必要です。
開始を急かされていても、現任者の実際の業務終了日、次回点検の担当、緊急連絡の責任者のどれかが不明なら、受託可否を答えません。設置者と現在の担当者へ確認し、手続が不明なら設備所在地を所管する産業保安監督部へ確認します。全国の公式窓口を確認
最初の結論
「案件の7情報」と「受託者の適格性」を混ぜない
- 7情報は、設備と運用の事実を集めるための初期確認
- 免状・経験・機械器具・換算値などは、法令上の確認を別に行う
- どちらかが未確認なら、受託可否を決めず次の確認先を残す
新規受託は「設備の概要」だけでは判断できない
新しい相談が来たとき、所在地と設備容量だけで受託を判断するのは早計です。先に、その事業場が外部委託承認制度の対象となり得るか、必要な点検を実施できるか、設置者との役割分担を契約と保安規程へ反映できるかを確認します。
外部委託は、受託者が契約すれば直ちに開始できる制度ではありません。設置者が要件を満たす相手方と委託契約を締結し、保安上支障がないものとして所管の産業保安監督部長の承認を受ける仕組みです。制度の公式案内を確認
点数・到達・点検頻度・法令適合を自動判定しません。確認項目をそろえ、誰に何を確かめるかを見えるようにします。
法令上の適格性ゲート
7情報がそろっても、受託要件の確認は別に必要
以下は、現行の電気事業法施行規則、告示、主任技術者制度の解釈及び運用と、産業保安監督部が公開する要件確認資料から、入口となる確認軸を抜き出したものです。全国共通の法令・告示を土台にしていますが、申請様式や確認方法は関東東北産業保安監督部の公開資料を例にしているため、設備所在地を所管する産業保安監督部の最新案内も確認してください。要件の網羅表、法令適合の判定、行政庁の承認見込みを示すものではありません。
個人・法人に共通する主な確認軸
- 免状と実務経験:個人本人または法人の保安業務従事者が、電気主任技術者免状と、資格の種類に応じた実務経験を有すること。
- 機械器具:保安管理業務に必要な測定器・試験装置などを保有していること。
- 換算値:個人は受託事業場の合計、法人は保安業務担当者ごとの合計が33未満であること。契約件数だけで置き換えません。
- 点検・到達・契約:設備ごとの点検頻度、2時間以内の到達体制、立入り、設置者との義務・責任を確認し、委託契約書と保安規程へ適切に反映できること。
- 適確な遂行:他の業務や既存受託分を含めても、保安管理業務の適確な遂行に支障がないこと。
受託要件の公表資料と主任技術者制度の解釈及び運用を確認してください。
電気管理技術者
個人として確認すること
- 「他に職業を有しないこと」という要件について、所管の産業保安監督部が求める説明資料で確認する。
- 承認取消しの日から2年を経過していない者に該当しないことを確認する。
- 本人の既存受託、執務時間、緊急対応を含め、適確に遂行できることを説明できるようにする。
電気保安法人
法人として確認すること
- 法人自身が承認取消しの日から2年を経過していない者に該当せず、取消しにつき責めに任ずべき者で取消しの日から2年を経過していない者を保安管理業務に従事させていないことを確認する。
- 保安業務担当者が明確な責任の下で業務を行える管理・監督の系統を構築し、保安管理業務マネジメント規程と執務に関する説明書で示す。
- 保安業務担当者は、電気工作物の保安に関するものを除く他の職務を兼務しない。従事者へ点検を指示する場合は、職務上の指揮命令関係、指示・報告、業務分担、担当者による監督を明確にし、担当者自身の業務が形式的にならない体制とする。
- あらかじめ定めた間隔で業務をレビューし、必要な改善を行える体制を運用する。書類を作成するだけで終わらせない。
法人用の確認書類も確認してください。
設備区分、受託形態、実務経験の算定、機械器具、点検頻度、取消し歴などにより確認資料は変わります。最新の原文と所管の産業保安監督部による要件確認を経てください。
現地確認・契約前に最初に集める7情報
次の7項目は、案件の輪郭をそろえるための情報です。項目が埋まっても、受託要件を満たしたことや、外部委託承認を受けられることを意味しません。
-
01
制度対象となる設備区分
受電電圧、需要設備・発電所・蓄電所の別、発電方式、出力、設置工事中か運用中かを確認します。構外電線路、非常用予備発電、太陽電池、蓄電設備、EV充電設備がある場合は、対象範囲を分けて記録します。
-
02
契約と承認申請の現在地
新設、既存契約からの切替、設備変更のどれかを明確にし、希望開始日、現契約の終了予定、保安規程変更の可能性、申請準備の担当者を整理します。「相談中」「契約済み」「申請済み」「承認済み」を混同しません。
-
03
点検頻度と、その根拠
単線結線図、設備一覧、責任分界点、設備容量、発電・蓄電設備の仕様、直近の点検記録、未改修事項を確認します。現在の頻度だけでなく、その設備条件と保安規程上の根拠を確かめます。
2025年4月の改正で、低圧電路の絶縁状態と負荷を適確に監視できる装置を有し、主遮断装置等が計画に従い適切に更新されている一定の需要設備について、月次点検を3か月に1回以上とする取扱いが追加されました。監視装置の有無だけでは適用できず、設備更新計画、契約、保安規程、申請等の要件を一次資料で確認します。根拠資料を確認
-
04
通常時と緊急時の到達体制
外部委託では、原則として事業場へ2時間以内に到達できることが要件です。任意の待機場所ではなく、個人は契約先事業所、法人は保安業務実施事業所等、所管部が確認する起点を基準にします。通常利用する交通手段、時間帯による道路事情、休日・夜間の体制を実際の経路で確認します。門、電気室、屋上、借地、構外電線路などの立入制限がある場合は、鍵の管理者、入場手続、緊急時の連絡・立入り方法を設置者と決めます。根拠資料を確認
-
05
特殊設備・特殊環境
医療用機器、防爆設備、消防設備、クリーンルーム、放射線管理区域などは、設備・区域によって追加資格、教育、入場許可、専門事業者との調整が必要になる場合があります。一律に追加資格が必要と決めつけず、受託者、設置者、専門事業者が担う範囲を確認します。
-
06
担当予定・既存受託・機械器具の情報
担当候補、既存受託分、執務予定、緊急対応、使用する測定器・試験装置を資料で確認します。設備条件と点検頻度を確定した後、告示に基づく換算値を既存受託分へ反映します。電気保安法人は保安業務担当者ごと、電気管理技術者は本人について確認し、資格・実務経験を含む適格性は前項のゲートで別に照合します。根拠資料を確認
-
07
設置者との役割分担
設置者側の連絡責任者を選任し、点検頻度、工事時の連絡、事故・故障時の対応、報告・記録保存、立入り、停電調整、修理・改造に関する助言の分担を確認します。口頭合意で終わらせず、委託契約書と保安規程の内容が食い違わないようにします。
印刷・コピー用
個人情報を書かない初期確認シート
事業場名、正確な住所、担当者名、電話番号、メールアドレスは書きません。この表は初期確認用です。実際の到達確認、契約、申請では、必要な正確な情報を当事者間で別途確認してください。
狭い画面では表を左右へ動かして確認できます。キーボードでは表に移動して左右キーを使えます。
| 情報 | 匿名メモ | 確認状態 |
|---|---|---|
| 1. 設備区分・範囲 | 受電電圧、容量、需要・発電・蓄電、工事中・運用中:[ ] | □ 未確認 □ 資料あり □ 現地確認 |
| 2. 契約・申請の現在地 | □ 新設 □ 切替 □ 設備変更 希望時期(月単位):[ ] | □ 相談中 □ 契約済み □ 申請済み □ 承認済み |
| 3. 点検頻度・根拠 | 現在の頻度と根拠資料:[ ] 未改修事項:□ あり □ なし □ 未確認 | □ 資料あり □ 設置者確認 □ 所管部確認 |
| 4. 到達・立入り | 都道府県程度の地域、出動起点、交通手段、鍵・入場条件:[ ] | □ 経路確認 □ 現地確認 □ 夜間休日確認 |
| 5. 特殊設備・環境 | 医療、防爆、消防、清浄区域など:[ ] | □ 該当なし □ 専門確認 □ 未確認 |
| 6. 担当予定・既存受託 | 担当記号、換算値資料、機械器具、執務・緊急体制:[ ] | □ 資料あり □ 再計算 □ 適格性確認 |
| 7. 役割分担 | 点検、事故時連絡、工事連絡、記録、停電調整:[ ] | □ 合意前 □ 契約確認 □ 保安規程確認 |
次の確認先:□ 設置者 □ 現在の担当者 □ 受託者内の責任者 □ 所管の産業保安監督部 期限:[ 年 月 日]
用語を平易に
このページで使う言葉
- 設置者
- その自家用電気工作物を設置し、保安を確保する責任を負う事業者・組織です。
- 外部委託承認
- 設置者が保安管理業務を一定の要件に該当する個人・法人へ委託し、電気主任技術者を選任しないことについて、所管の産業保安監督部長から受ける承認です。契約しただけでは完了しません。
- 保安規程
- 設置者が、設備の工事・維持・運用に関する保安の仕組みや役割を定める規程です。
- 責任分界点
- 電気設備について、電力会社側と設置者側などの保安責任が分かれる地点です。
- 換算値
- 設備・点検条件などを告示の方法で数値化し、受託業務量を管理するための値です。単純な契約件数ではありません。
- 保安業務従事者/保安業務担当者
- 法人で保安管理業務に従事する者と、その中で個別事業場を担当して委託契約書に明記される者を区別する言葉です。
未確認事項を残したまま、受託可否を決めない
初期確認は、単純な可否ではなく次の状態で管理すると、確認漏れと早合点を減らせます。
条件が変われば、過去の回答をそのまま使わず更新日を付け直します。個別条件に迷う場合は、契約前に所管の産業保安監督部へ相談してください。
次に整理する
別の立場からも、確認項目を見直す
施設側、受託側、引渡し側の記事を行き来すると、相手へ確認すべき条件と未確認事項を分けやすくなります。
よくある質問
受託前に迷いやすい点
7情報が全部そろえば、受託要件を満たしますか?
いいえ。7情報は案件の初期確認です。免状、実務経験、機械器具、換算値、点検・到達体制などを、個人・法人ごとの現行要件と一次資料で別に確認します。
個人と法人で、確認する要件は同じですか?
共通する確認軸はありますが同一ではありません。個人には他の職業や執務に関する確認があり、法人には保安業務従事者・担当者の責任、遂行体制、マネジメント規程、レビュー・改善の確認があります。
所在地と設備容量が分かれば受託を判断できますか?
それだけでは判断できません。設備区分、受電電圧、発電・蓄電設備、点検頻度の根拠、到達体制、立入り条件、担当者の受託状況などを個別に確認します。
監視装置があれば月次点検を3か月に1回へ変更できますか?
監視装置があるだけでは変更できません。3か月に1回以上とする取扱いは、監視機能と主遮断装置等の更新要件を満たす一定の需要設備に限られます。設備更新計画、契約書、保安規程、必要な申請・届出を最新の一次資料で確認します。
記事やサイトで「受託可能」と判定できますか?
できません。サイトは確認項目の整理だけを行います。受託判断は受託者、外部委託承認の判断は申請を受けた行政庁が行います。
一次資料
制度の最終確認先
- 関東東北産業保安監督部「外部委託承認制度」
- 同「保安管理業務を行いたい方へ」
- 同「保安法人(法人)用の申請書類」
- 同「自家用電気工作物に関する手続きについて」
- 経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用等の一部改正」
- 経済産業省「点検頻度等に関する告示」
- 経済産業省「主任技術者制度の解釈及び運用」
- 経済産業省「産業保安監督部・経済産業局等のお問い合わせ先」
本記事は一般的な初期確認の順番です。掲載した適格性ゲートも要件を網羅せず、個別の受託可否や承認を判断しません。制度対象、資格・実務経験、機械器具、点検頻度、換算値、到達条件、遂行体制、必要手続きは、最新資料と所管の産業保安監督部で確認してください。